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日外会誌. 91(7): 844-850, 1990


原著

大腸癌大動脈周囲リンパ節転移症例の検討
ー特に S 状結腸癌 Skip 転移についてー

癌研究会附属病院 外科
*) 癌研究会附属病院 研究所病理

待木 雄一 , 畦倉 薫 , 太田 博俊 , 上野 雅資 , 西 満正 , 柳沢 昭夫*) , 加藤 洋*)

(1989年7月29日受付)

I.内容要旨
1946年から1987年までの癌研外科における単発大腸癌手術症例2,260例のうち大動脈周囲リンパ節に転移を認めた76例を対象として腫瘍占居部位別に治療成績について検討をした.治療成績はS状結腸癌相対非治癒例が極めて良好であり,特に,腫瘍近傍リンパ節から大動脈周囲リンパ節にskip転移をきたした6例に予後良好群が集中していた.Skip転移の頻度は大動脈周囲リンパ節転移陽性S状結腸癌の転移様式の26.1%(6/23)を占めていた.転移経路には,(1)腫瘍近傍リンパ節から直接大動脈周囲リンパ節に至る経路と,(2)腫瘍近傍リンパ節から大動脈分岐部リンパ節に直接転移をきたしさらに傍大動脈リンパ節に至る経路の2つが認められた.転移部位は6例とも下腸間膜動脈根部より下方の大動脈周囲リンパ節であった.大動脈周囲リンパ節の転移個数が平均1.7個(1~3個)と少なく,深達度smの症例も1例認めており,癌の進行度の早い段階での転移と推測された.予後は良好で,6例のうち3年以上健存中1例,4年以上健存中1例,7年以上健存中1例である.但し,S状結腸癌で腫瘍近傍リンパ節から大動脈分岐部リンパ節へskip転移を認め傍大動脈リンパ節への転移は陰性である1症例もn4(+)に相当することより大動脈周囲リンパ節転移陽性例として一括して検討した.

キーワード
大動脈周囲リンパ節転移大腸癌, 傍大動脈リンパ節転移, 大動脈分岐部リンパ節転移, Skip 転移


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