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日外会誌. 91(4): 515-523, 1990


原著

自己培養肺癌細胞に対する細胞障害活性誘導に関する研究
ーリンパ球腫瘍細胞混合培養の有用性についてー

東北大学抗酸菌病研究所 外科学部門

稲葉 浩久 , 小林 俊介 , 岡田 信一郎 , 藤村 重文 , 仲田 祐

(1989年6月5日受付)

I.内容要旨
自己Target cellとして10例の安定継代培養肺癌細胞を用いて,ヒト末梢血リンパ球より誘導したEffector cellの細胞障害試験を行い,以下の結論を得た.
(1)末梢血リンパ球を,リンパ球腫瘍細胞混合培養・MLTC(末梢血リンパ球とγ線を照射した自己培養肺癌細胞を混合し3日間感作培養後,同じくγ線照射した同種リンパ球を刺激細胞として加え,混合培養する)17日間施行にて得たリンパ球は,自己培養肺癌細胞に対して10例中4例(40%)において細胞障害活性を示した.
(2)末梢血リンパ球を,MLTC14日間施行後,更にIL2を加え3日間追加培養することにて得たリンパ球は,自己培養肺癌細胞10例中全例(100%)に高い細胞障害活性を示した.またこのキラー細胞は計17日間の培養で,培養開始時の4.13倍に増殖し,その細胞表面マーカーはOKT3OKT8であることが示唆された.
このキラー細胞は癌養子免疫療法のEffector cellとして期待しうると考えられた.

キーワード
リンパ球腫瘍細胞混合培養 (MLTC), Interleukin 2, 自己継代培養肺癌細胞, ヒト末梢血リンパ球


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