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日外会誌. 91(4): 524-528, 1990


原著

雑種成犬を対象とした同種気管移植実験

福岡大学 医学部第2外科
*) 北九州市立松寿園 外科

白日 高歩 , 上田 仁 , 斉藤 猛彦*)

(1989年3月8日受付)

I.内容要旨
12頭の雑種成犬を対象に同種気管移植実験を行った.方法としては2頭対の成犬に全麻後,頸部気管を露出,5~6軟骨輪切除して交互交換による移植を行った.移植気管の血行を保つ為に,右胃大網血管を栄養血管とする有茎大網片で吻合部を被覆した.12頭中5頭に免疫抑制剤を短期間投与した.30日以上生存犬は5頭でそのうち1頭が9ヵ月の長期生存に達した.術後,気管支鏡により移植気管の生着状態を観察したが,1週目頃より肉芽形成がみられ,感染等を契機として狭窄が増大した.長期生存犬では,6ヵ月以降肉芽による狭窄は見られず,粘膜色調は宿主気管と区別し難くなっていた.
同種気管移植においては,拒絶反応の発現の程度,期間は多大とは考えられず,むしろ血流維持を十分に図る事が成功の鍵と考えられた.

キーワード
同種気管移植, 有茎大網被覆


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