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書誌情報]
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日外会誌. 91(3): 303-312, 1990
原著
腎被膜下移植法による抗癌剤感受性試験法の臨床例を用いた研究
ー原法と改良法の比較検討―
I.内容要旨臨床手術材料19例を用いて,腎被膜下移植法の原法及び改良を加えた方法につき検討し,以下の成績及び結果を得た.
1)臨床例12例を用いて,CDF
1マウス無処置対照群,cyclosporin A(CsA)60mg/kg連日処置群,BALB/c-nu/nu(ヌード)マウス群における移植腫瘍の腎被膜下での生着増殖性を移植後6,9日目に肉眼的及び組織学的に比較検討した.その結果,無処置対照群では移植後6日目には肉眼的に12例中9例が増大したが,移植片割面における組織検討では宿主の反応性組織が5.0~74.7%と種々の程度で浸潤しており,CsA処置群あるいはヌードマウス群では宿主反応はほぼ抑制されていた.
CsA処置マウス・ヌードマウスにおいても,移植片は原腫瘍の種類,性質により移植後6,9日目に肉眼上退縮し組織上も生着が認められないものから,単に生着しているもの,肉眼上増大し組織上も増殖を示すものと多様であり,腎被膜下の生着増殖には移植腫瘍側の因子が存在することがわかった.
2)1)と同じ症例にて,CsA 60mg/kg処置マウス,ヌードマウスに抗癌剤を投与し,移植後6,9日目における腫瘍片の肉眼サイズ,組織学的効果の判定を施行し,改良したassay系における抗癌剤の有効性を検討した.その結果,各症例で両マウス間の移植片の肉眼変化による判定と組織効果はほぼ一致したが,個々のassayで肉眼判定と組織効果と一致しないものも見られた.
3)臨床材料7例を用い,CsA 60mg/kg処置マウスの腎被膜下における移植片の増殖能をBromodeoxyuridineを用いた腫瘍細胞標識率の経日的算定にて検討した結果,標識率は個々の腫瘍の性格を現しており,判定日に高値を示したからといって短期間に増殖するとは限らないことがわかった.
キーワード
腎被膜下移植法, 抗癌剤感受性試験法, immunocompetent なマウス, ヌードマウス, CyclosporinA
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