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日外会誌. 91(2): 228-233, 1990


原著

膵癌関連抗原(SPan-1抗原)の測定法と膵癌診断への応用

大阪市立大学 医学部第1外科

鄭 容錫 , 仲田 文造 , 田中 肇 , 久保 俊彰 , 佐竹 克介 , 曽和 融生 , 梅山 馨

(1988年8月22日受付)

I.内容要旨
膵癌関連抗原SPan-1抗原測定用に開発されたkit(SPan-1 RIABEAD)の基礎的検討と健常人での血清値分布および臨床診断応用の可能性について検討した.本kitによるSPan-1抗原測定は少量の試料で短時間に簡便な手法で行われ,測定範囲(0~1,000U/ml)も広く,再現性,信頼性も高かった.健常人1,182例の血清平均値は7.5U/mlで,約99%が30U/ml以下の値を示し,年齢,性差別平均値の変動は6.1~9.6U/mlの範囲内にみられた.膵癌細胞培養上清中のSPan-1抗原値は5株中4株が著しい高値を示し,臨床例ではcut off値を40U/mlとすると膵癌で高い陽性率(92.3%)がみられ,比較的早期例での陽性例も認められた.良性膵疾患では偽陽性例は認められず,膵癌との鑑別にも役立つと思われた.また膵癌の治療経過のmonitoringとしても血中SPan-1抗原値は鋭敏に反応した.以上,本assay法によるSPan-1抗原の測定は精度が高く,膵癌診断およびmonitoringとして有用な手段になることが示唆された.

キーワード
SPan-1抗原, 膵癌関連抗原, 血清学的診断, RIA


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