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日外会誌. 91(2): 223-227, 1990


原著

進行胆囊癌における大動脈周囲リンパ節郭清の意義

名古屋大学 医学部第1外科

近藤 哲 , 二村 雄次 , 早川 直和 , 神谷 順一 , 前田 正司 , 塩野谷 恵彦

(1989年3月22日受付)

I.内容要旨
相対非治癒切除以上の治癒度を有する進行胆嚢癌28例にルーチンに⑯リンパ節郭清を行ったところ10例36%,se・si症例に限ると50%に転移を認めた.10例中4例はルーチンの⑯リンパ節郭清が施行されていなければn2例と診断されてしまうものであり,治癒切除の判定には⑯リンパ節郭清が必須といえる.⑯リンパ節の転移頻度は⑭リンパ節の2倍であり12p2,13aなどからの⑭を介さない直接の転移経路が示唆された.すでに剖検例で証明されているこのリンパ経路も考慮すると⑯リンパ節は第2群と第3群の中間に位置すべきである.⑯リンパ節郭清を行うと転移陽性であっても他に非治癒因子がなけれぽ,術後生存期間は平均2年2ヵ月,最長3年6ヵ月と比較的長期の生存が得られた.また,合併症は皆無で予防的郭清としても合理的な術式と考えられた.なお,⑯リンパ節のすべてに転移を認めた場合は全例術後合併症により早期死亡しており,この様な症例には原発巣の切除に過大な侵襲を加える術式は避けるべきと考えられた.以上より,進行胆嚢癌の根治切除には必ず⑯郭清を付加するべきである.

キーワード
胆囊癌, 大動脈周囲リンパ節転移, 大動脈周囲リンパ節郭清, 腸間膜根部リンパ節転移, 膵頭十二指腸切除


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