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日外会誌. 90(10): 1774-1779, 1989


原著

肝硬変症の肝腎組織血流・エネルギー代謝に関する実験的研究
ー特に低血圧の影響についてー

東北大学 医学部第1外科教室(指導:佐藤寿雄教授)

藤谷 恒明 , 大内 清昭 , 松野 正紀

(1988年10月13日受付)

I.内容要旨
0.04%Thioacetamide水溶液を6ヵ月間経口投与し作製したラット肝硬変モデルを用い低血圧負荷の肝腎組織血流量及びエネルギー代謝に及ぼす影響について実験的に検討した.肝硬変ラット(肝硬変群)の門脈圧は正常ラット(正常群)の1.4倍に上昇し肝組織血流量は73%に減少していたが,腎組織血流量に差は認めなかった.20ml/kg体重の脱血による低血圧負荷を与え還血すると正常群の肝組織血流量は負荷前値の96%まで回復したのに対し肝硬変群では64%であり,腎組織血流量の回復は各々88%,49%であった.低血圧負荷後の肝腎組織ATP量,総アデニンヌクレオチド量,Energy chargeは肝腎ともに正常群では有意の変化を認めなかったが,肝硬変群では有意に低値を示した.肝硬変では低血圧により肝腎組織循環障害が顕著となり肝腎エネルギー代謝を悪化させる事が示された.

キーワード
肝硬変, 出血性ショック, 肝組織血流量, 腎組織血流量, アデニンヌクレオチド

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