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日外会誌. 90(10): 1718-1721, 1989


原著

胃癌における BrdU 標識率の検討

金沢大学 医学部第2外科

鎌田 徹 , 米村 豊 , 杉山 和夫 , 大山 繁和 , 小坂 健夫 , 三輪 晃一 , 宮崎 逸夫

(1988年11月26日受付)

I.内容要旨
胃癌97例についてin vivo BrdU標識率を算定し,このうち11例については生検材料よりSasakiらの方法を用いてin vitro BrdU標識を行った.深達度,組織型とin vitro BrdU標識率には関係がみられず,リンパ管侵襲,肝転移ならびに腹膜播種の有無とのあいだにも相関は認められなかった.しかしリンパ節転移についてみると転移陽性例の平均BrdU標識率は16.2%と,陰性例の13.3%に比較し有意に高率であった(p<0.05).また静脈侵襲陽性例においても陰性例に比較し,それぞれ17.2%,13.5%であり,有意に高率であった(p<0.05).早期胃癌では,in vivo BrdU標識率が12%未満群ではリンパ節転移をきたした症例が認められなかったのに対し,12%以上群では29例中9例31%に転移を認めた(p<0.05).つぎに同一症例におけるin vivo BrdU標識率とin vitro BrdU標識率の関係をみると,両者の標識率はほぼ一致した.以上より,生検材料を用いてもBrdU標識率は十分に評価可能であり,特に早期胃癌におけるリンパ節転移の予測に有用となり得ることが示唆された.

キーワード
in vivo BrdU 標識, in vitro BrdU 標識, 胃癌


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