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日外会誌. 90(8): 1262-1265, 1989


症例報告

乳腺原発骨肉腫

日本医科大学付属多摩永山病院 外科
*) 日本医科大学付属多摩永山病院 病理
**) 日本医科大学 第1外科

細井 通則 , 吉岡 正智 , 田中 洋介 , 和田 勲武 , 中尾 充 , 前田 昭太郎*) , 恩田 昌彦**)

(1988年9月8日受付)

I.内容要旨
乳腺原発骨肉腫は非常に稀で本邦ではこれまで11例の報告があるのみである.今回われわれは本邦報告例中最年少の1例を経験したので報告した.患者は30歳女性で右乳房腫瘤を主訴として来院,乳腺撮影,超音波検査,吸引細胞診にて乳癌と診断し,定型的乳房切断術を施行した.手術標本組織検査では,未分化骨芽細胞に相当する大型な非上皮腫瘍細胞が間質に定型的osteoidを形成しながら密に増生しており,乳腺原発骨肉腫と診断された.術後3カ月目に局所再発が, 4カ月目に両側性肺転移が確認された.局所再発に対し60Coを照射するとともに,ビンクリスチン,メソトレキセートによる化学療法を施行したが両者とも効果なく,シスプラチン投与によりはじめて局所再発腫瘤に壊死変化が見られた.しかし,全身状態の改善が見られないまま術後9カ月目に死亡した.

キーワード
骨肉腫, 非上皮性乳腺腫瘍

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