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書誌情報]
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日外会誌. 90(3): 409-414, 1989
原著
膵疾患における脾静脈閉塞症
ー脾血行動態からみた局所性門脈圧亢進症の検討ー
I.内容要旨膵炎,膵嚢胞および膵癌などの膵体尾部に主病変を有する膵疾患82例における脾静脈閉塞症について脾動静脈を含む脾血行動態からふりかえり,原因疾患別に臨床像を検討した.脾動静脈の閉塞の有無や狭窄の程度については腹腔動脈造影を中心とした血管造影所見によった.脾静脈閉塞を認めた16例について閉塞部位により副血行路を比較すると脾門部閉塞型では短胃静脈系,主幹部閉塞型では胃大網静脈系が主要となり,脾静脈の閉塞部位によって影響されると考えられた.
胃静脈瘤や脾腫については脾静脈不完全閉塞例7例では脾腫が2例に認められたに過ぎず低率であったが,16例の完全閉塞例では胃静脈瘤および脾腫がそれぞれ10例(62.5%)および11例(68.7%)にみられ高率であった.脾静脈閉塞例16例のうち脾動脈閉塞は膵癌のみ3例でみられ, これらの動静脈閉塞例では胃静脈瘤を認めなかった.以上より本症の臨床経過はPhaseI潜在期,PhaseII副血行路形成期,PhaseIII消腿期の3つに分類され, とくにPhaseIIIへの移行例は膵癌にのみ認められる点が注目された.
キーワード
脾静脈閉塞症, 副血行路, 局所性門脈圧亢進症, 膵炎, 膵癌
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