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日外会誌. 90(3): 404-408, 1989


原著

胆管上皮分離培養細胞を用いた胆道癌関連発癌物質の検出モデル

九州大学 医学部第1外科

呂 明徳 , 宮崎 耕治 , 吉冨 聰一 , 中山 文夫

(1988年5月19日受付)

I.内容要旨
ホルスタイン系ウシ肝外胆管上皮細胞の分離培養を用いて胆道癌関連発癌物質の検出モデルを開発した.胆管をディスパーゼで消化した後,粘膜層のみを剥離することにより上皮細胞を得,電子顕微鏡により分離細胞の上皮性特徴,均一性と無傷性を確認した.
初代培養胆管上皮細胞に対し,実験動物における胆道癌発癌物質を作用させ,オートラジオグラフィ法を用い,不定期DNA合成CUDSの検出を行った.S-9mixture添加の有無に拘らず, MNNG,ENNGはUDSを惹起したが,DMNはUDSを誘導しなかった.一方,MCAはS-9mixtureの存在下でのみUDSを惹起した. AFB1の胆管上皮細胞に対する作用はその濃度とよく相関し,S-9mixtureの添加により更に増強された.これらの結果よりMNNG,ENNG及び高濃度のAFB1が肝臓を経由しなくても,直接胆管上皮細胞にDNA損傷を起こしうることを明らかにした.確立した胆管上皮細胞初代培養系は胆道癌に関する遺伝子毒性物質の短期スクリーニング法として有用なモデルと考えられる.

キーワード
培養胆管上皮細胞, 発癌物質, DNA 修復, 胆道癌


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