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日外会誌. 90(2): 267-272, 1989


原著

扁平上皮癌関連抗原 SCC の食道癌における臨床的意義

旭川医科大学 第1外科学教室

平田 哲 , 山崎 弘資 , 横山 康弘 , 植田 守 , 久保 良彦 , 鮫島 夏樹

(1988年4月2日受付)

I.内容要旨
食道癌患者における扁平上皮癌関連抗原(SCC抗原)について,その臨床的意義を検討した.食道癌22例では血中SCC抗原陽性は9例(40.9%)であったが胃癌等の他の疾患では陽性例がなくspecificityが高かった.食道癌においてはSCC抗原は,進行度III~IV期の進行例にのみ陽性を示し,進行度I~II期の比較的早期例では陽性例は認められなかった.組織学的分化度との検討では低分化型ではstageの進行にもかかわらず陽性例はなく,中~高分化型の症例においてはstageの進行とともに陽性例が増加した.抗TA-4家兎血清(抗SCC抗体)を用いた免疫組織学的検討においても低分化型ではSCCのimmuno-reactivityはみとめられず,中~高分化型では角化部及び癌細胞胞体に組織内局在をみとめた.以上のことよりSCC抗原は扁平上皮癌の分化と強く関係のある抗原であり,臨床的に中~高分化型扁平上皮癌の良いmarkerとなることがわかった.

キーワード
食道癌, 扁平上皮癌, SCC 抗原, 免疫組織学的解析


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