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日外会誌. 90(1): 141-144, 1989


症例報告

鬱血性心不全を来した右総腸骨動脈
ー下大静脈瘻の一治験例

奈良県立医科大学 第3外科

井上 毅 , 北村 惣一郎 , 大山 朝賢 , 河内 寛治 , 森田 隆一 , 西井 勤 , 亀田 陽一

(1988年1月23日受付)

I.内容要旨
患者は69歳,男性で,右総腸骨動脈瘤が下大静脈に穿孔して動静脈瘤を来していた.その為,8年にわたって労作時の呼吸困難を主訴とする再発性鬱血性心不全にて入退院を繰り返した.
手術では,瘤を切開し瘻孔(Φ15mm)を用指にて圧迫閉鎖しながらプレッジット付き3-0ナイロンで閉鎖した.右総腸骨動脈瘤は人工血管で置換した.術後経過は良好で,CTRは術前70%から術後57%に減少し,心拍出係数も6.1から3.4l/min/m2,肺動脈平均圧も26mmHgから12mmHgと正常化し,自覚症状も消失した.本症は稀な合併症で,本邦では文献上4例の報告をみるのみであり,また術後には興味ある血行動態的変化を示したので報告した.

キーワード
総腸骨動脈ー下大静脈瘻, 総腸骨動脈瘤, 鬱血性心不全


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