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日外会誌. 90(1): 138-140, 1989


症例報告

外傷性 subclavian steal 症候群の1例

厚生連高岡病院 外科

斎藤 裕 , 伴登 宏行 , 酒徳 光明 , 平野 誠 , 橘川 弘勝 , 龍沢 俊彦

(1988年3月7日受付)

I.内容要旨
44歳男性が左上肢と胸部を強く圧迫され来院した.左橈骨動脈拍動を触知しなかった.左上縦隔血腫を認め,血管造影で左鎖骨下動脈の中枢側閉塞と左椎骨動脈からの逆行性造影が見られた.脳虚血症状はなかったが出血の恐れがあるため早急に手術を行った.胸骨正中切開にて血腫に埋没した中枢側鎖骨下動脈を摘除し,人工血管にて置換した.動脈は離断し,血栓にて閉塞していた.術後経過は良好であった.本症例は外傷性subclavian steal症候群の報告例として7例目にあたる.外傷による場合は側副血行路の発達が乏しく,steal現象による脳虚血症状が発現しやすいと考えられるため,たとえ受傷時に脳症状がなくとも本症候群を念頭においた血行再建術が望まれる.

キーワード
subclavian steal 症候群, 胸部外傷


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