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日外会誌. 89(12): 1965-1968, 1988
原著
胃癌における human epidermal growth factor(h-EGF)の検討
I.内容要旨胃癌組織内human epidermal growth factor(h-EGF:ヒト上皮増殖因子)の有無と病理組織学的因子および予後に関して検討した.
対象は,胃癌原発巣221例とし,polyclonal anti h-EGF antibodyを用いて酵素抗体法にて染色した.
EGF陽性率は221例中64例,29%であり,肉眼型では浸潤型(3,4型)の陽性率が46%と限局型(0,1,2,5型)の18%に比し有意に高率であつた(p<0.05).
組織型では未分化型(por,muc,sig)の陽性率が43%と,分化型(pop,tub)の14%に比し高率であつた(p<0.01).
深達度ではps⊕症例のEGF陽性率が43%とps⊖症例の20%に比し有意に高率であり(p<0.01),間質に関しては硬性型胃癌の陽性率が非硬性型胃癌に比し高率であつた.
また,EGF陽性群と陰性群に分けて検討すると,陽性群におけるリンパ節転移率,腹膜播種率はそれぞれ68.3%,20.6%であり,陰性群の53.7%,8.1%に比し高率であつた.
5年生存率を比較すると,未分化型胃癌症例およびstage II,III症例において陽性群は陰性群に比し予後不良であつた.
以上より,胃癌組織内EGFは浸潤増殖および間質の線維化に関与し,また予後規定因子の1つにもなる可能性があると考えられた.
キーワード
human epidermal growth factor, 胃癌
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