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日外会誌. 89(8): 1296-1301, 1988


症例報告

左肝管の狭窄と分枝異常を伴つた重複胆管症の1例

山鹿市立病院 外科
*) 熊本大学 医学部第1外科

斎藤 如由 , 中野 章 , 荒瀬 正信 , 平岡 武久*)

(昭和62年7月29日受付)

I.内容要旨
結石を伴い,十二指腸球部へ開口する重複胆管症の1例を経験した.患者は50歳男性で,発熱,上腹部痛を主訴として当院内科に入院し,総胆管結石を指摘され,外科へ転科した.総胆管および肝内胆管結石の診断の下に開腹し,胆嚢摘出,総胆管切開,十二指腸乳頭形成術を施行した.しかし,術後のT-tubeからの造影で左肝管の狭窄と分枝異常,および外側下区域枝と思われる胆管内に陰影欠損を認めた.再開腹し肝外側区域切除術を施行するも,陰影欠損部は消失せず,再精査にて後腹膜下にて異常胆管を発見した.同部からの造影にて,正常の総胆管と別に左肝管より十二指腸球部へ交通する異常胆管が造影され,重複胆管症であることが判明した.重複胆管症は本邦にて15例の報告を認めるが,肝管の狭窄と分枝異常を伴つた症例の報告はない.自験例を含め,本症の持つ問題点について考察した.

キーワード
重複胆管症, 胆石症


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