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日外会誌. 89(8): 1286-1290, 1988


原著

心臓血管外科領域における術中血管内視鏡の経験

東京医科大学 外科

石丸 新 , 箱島 明 , 長田 一仁 , 平山 哲三 , 山口 寛 , 古川 欽一

(昭和62年8月24日受付)

I.内容要旨
心臓血管外科におけるfiber optic cardiovascular endoscope (angioscope)の臨床経験を中心に,その術中使用の有用性と問題点を検討した.開心術中での大動脈弁の観察では,心筋保護液の大動脈基部注入圧が10mmHg以下の低圧では弁閉鎖不全による保護液の逆流が証明され,停止心筋保護法における至適冠灌流圧を評価することができた.動脈血栓内膜摘除術における観察では,剥離内膜の固定を確実に行なうための指標となった.静脈血栓症においては,器質化血栓の状態を観察するとともに, iliac compression syndromeの存在を証明し得た.術中angioscopyにおいては,視野範囲に介在する血液を生食水の注入により排除することは比較的容易であるが,観察時間が長い場合にはその使用量が過剰となる危険があるため,注意が必要である.

キーワード
術中血管内視鏡, angioscope, 間歇的冠灌流, 血栓内膜摘除術, iliac compression syndrome


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