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日外会誌. 89(7): 1114-1121, 1988


原著

Myonephropathic metabolic syndromeに対する新しい予防と治療法
一プラズマフィルトレーションの応用一

日本大学 医学部第2外科(主任:瀬在幸安教授)

一和多 雅雄

(昭和62年7月18日受付)

I.内容要旨
MNMS発生の予防および治療法については,未だ確実な有効手段が見出されていないのが現状である.今回著者は,高カリウム血症の治療,、高ミオグロビン血症による腎不全の予防,そして血流再開後引き続き遊出する組織代謝産物の除去を目的としてプラズマフィルトレーションによる有害物質の除去効果について実験的研究を行い,MNMS発生の予防と治療について検討を加えた.
雑種成犬25頭を用い,急性動脈閉塞モデルを作成し24時間後に血行再建術を施行した.プラズマフィルターを組み込んだ小循環回路を作成し,実験モデルに装着した群と対照群のミオグロビン,カリウム,乳酸などの経時的変化を測定した.用いたプラズマフィルターはHollow-Fiber型であり,有効膜面積は1.0m2,スリット構造を有するポリプロピレン製のファイバーで構成されている.
プラズマフィルターを装着した群の血行再建後のミオグロビン,カリウムなどはプラズマフィルトレーション開始後,明らかな増加傾向を認めず対照群と比較し有意差を認めた.しかし,乳酸については有意差は認めなかつた.
MNMSに対し,プラズマフィルトレーションは高カリウム血症の治療ならびにミオグロビンや未知の中分子量有毒物質の除去法としても,非常に有効であると考えられた.

キーワード
急性動脈閉塞症, MNMS, ミオグロビン, プラズマフェレーシス, プラズマフィルトレーション

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