[書誌情報] [全文PDF] (6705KB) [会員限定・要二段階認証]

日外会誌. 89(7): 1028-1039, 1988


原著

肝細胞癌における血管撮影像の外科学的意義

京都大学 医学部第1外科(指導:京都大学医学部第1外科教室 戸部隆吉教授)
*) 神戸市立中央市民病院 外科

峯松 壮平 , 谷 友彦*)

(昭和62年7月21日受付)

I.内容要旨
肝細胞癌146例の治療面からみた病態を術前の血管撮影像から検討した.肝細胞癌は血管撮影像上Expansive type,Mixed type,Infiltrative typeの3型に分類でき,この血管像よりみた発育様式を基盤に癌の進展状況を観察すると,Inf. typeはExp.typeに比べ,より主幹枝での門脈腫癌栓や娘結節の随伴率が高く,肝切除後の予後やTAEの効果などの治療成績においても相対的に劣つていた.
従つて,肝細胞癌の血管像は臨床的な“癌の悪性度”をよく表現しており,Inf. typeのものは可能な限り切除範囲を拡大する必要があり,またTAEとの集学的治療を積極的に目指すなど肝細胞癌治療の指針となることが示唆された.

キーワード
肝細胞癌, 血管撮影像, 発育様式, 癌の悪性度, TAE


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。