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日外会誌. 89(5): 776-780, 1988


症例報告

腹腔動脈狭窄を伴った十二指腸乳頭部癌の1手術治験例
―術前PTAの有用性について―

横浜市立大学 医学部第1外科
*) 関東中央病院 外科

野口 芳一 , 今田 敏夫 , 安達 隆二 , 天野 富薫 , 近藤 治郎 , 松本 昭彦 , 山下 宏治*)

(昭和62年4月7日受付)

I.内容要旨
術前血管造影にて腹腔動脈狭窄が認められた十二指腸乳頭部癌症例に対し,術前PTA (Percutaneous Transluminal Angioplasty)にて血流を確保し膵頭十二指腸切除を施行しえた症例を経験したので報告する.症例は58歳女性,低緊張十二指腸造影にて乳頭部を中心に腫瘤潰瘍型の病変を認めた.血管造影所見では,腹腔動脈起始部に75%の狭窄を認め,これに対し, PTAをGrüntzig Dilaca (4.3Fr)を用い5気圧60秒間2分間隔で計4回施行,狭窄部は25%に軽減した.術中,腹腔動脈より70~80ml/minの血流を確認後根治性を犠性にすることなく膵頭十二指腸切除を施行.術後も順調に経過した. 消化管吻合を行う術式での本法の有用性を報告する.

キーワード
十二指腸乳頭部癌, 腹腔動脈狭窄, PTA (Percuntaneous Transluminal Angioplasty)


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