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日外会誌. 89(3): 443-451, 1988


原著

血行再建術におけるsequential bypass techniqueの有用性について

名古屋大学 医学部第1外科 (主任:塩野谷恵彦教授)

松崎 安孝

(昭和62年4月22日受付)

I.内容要旨
下肢の動脈閉塞性疾患では,分節的な閉塞性病変が多発することも多く,このような症例の血行再建術では,sequential bypass techniqueを応用することがある.閉塞部と閉塞部との間にあり,開存している分枝を有する分節に側々吻合を加えるわけであるが,この方法が血行力学的にどのように有効であるか,また臨床上有用であるか等に関する検討はあまりすすんでいない.
雑種成犬でのモデル実験において,グラフト流量を電磁血流計により測定し,standard bypassと比しsequential bypassでは,中枢グラフトの流量は増加し,また末梢グラフトの流量はかわらないことを確認した.
また,ガラス管モデルによる流れの可視化の実験において,側々吻合部は端側吻合部と同様の流れの剥離,渦流域を形成すること,および宿主血管にあたる枝管の末梢抵抗が大きい程,吻合部の渦流域が大きくなること等も確認した.さらに臨床において,中間の側々吻合部より逆行性に中枢側へ血流を逆る必要のない場合は,宿主血管の中枢側を結紮し血流遮断した方が血行動態的に好ましいと考えられた.
臨床例では21例に対しsequential bypass techniqueを用い血行再建術を施行したが,このうち血行動態上興味ある3例を提示し検討した.

キーワード
血行再建術, sequential bypass technique, グラフト流量, 流れの可視化


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