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日外会誌. 89(3): 437-442, 1988


原著

鎖骨下動脈起始部閉塞に対する血行再建術
―特にTransposition法について―

広島大学 医学部第1外科 (主任:松浦雄一郎教授)
*) 福井医科大学 第2外科 (主任:村岡隆介教授)

石原 浩 , 浜中 喜晴 , 末田 泰二郎 , 大野 祥生 , 松浦 雄一郎 , 村岡 隆介*) , 千葉 幸夫*)

(昭和62年4月18日受付)

I.内容要旨
1981年10月より1986年5月までの間にフランス及び本邦において17例の鎖骨下動脈起始部閉塞症を経験し, 12例に非開胸鎖骨上窩到逹法による鎖骨下動脈ー総頸動脈端側吻合(Transposition法)を施行し良好な成績を得た.症例は男14例・女3例,年齢30~73歳,部位は左側13例・右側4例,病因は動脈硬化性13例・大動脈炎4例である.術前症状ではSubclavian Steal Syndrome 8例・患側上肢claudication(書字困難・握力低下など) 12例で,その他視力障害1例・眩暈3例・耳嗚1例などが認められた.手術は大動脈炎の4例がいずれも左総頸動脈起始部の高度の狭窄をも合併していたため胸骨正中切開下に上行大動脈から左鎖骨下動脈および左総頸動脈へのバイパスを行い,動脈硬化性の1例に左総頸動脈一左鎖骨下動脈バイパスを行った他は,全て鎖骨上窩皮膚切開,広頸筋・前斜角筋・胸鎖乳突筋切離により,総頸動脈・鎖骨下動脈を露出せしめて,鎖骨下動脈を総頸動脈にTranspositionした.全例共術後,症状は改善された.
本症に対し,本邦では血栓内膜摘除・各種バイパス術が行われている事が多いが,手術の簡便さ・総頸動脈遮断の安全性・術後遠隔期の開存性からみて, Transposition法を第ー選択として行うべきであると考える.

キーワード
鎖骨下動脈起始部閉塞, Subclavian Steal Syndrome, Transposition, Reimplantation of Subclavian Artery


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