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日外会誌. 89(3): 416-422, 1988


原著

胸腺腫の核内DNAヒストグラム分析

京都大学 医学部解剖学教室
*) 京都大学結核胸部疾患研究所 胸部外科部門

岡田 賢二 , 星野 一正 , 人見 滋樹*)

(昭和62年4月18日受付)

I.内容要旨
正常胸腺および胸腺腫の核内DNA量を蛍光顕微測光法により測定し,得られたDNAヒストグラムを, 1) ピーク値, 2)tetraploidy (4C)以上のDNA量をもつ細胞の割合, 3)average histogramの点から比較検討した.正常胸腺はdiploidy(2C)領域にピークをもつていたが,胸腺腫はピークがtetraploidy (4C)の方向に移動し, しかも病期の進歩とともにこの傾向は強かった.高DNA量をもつ細胞も病期の進歩とともに増加し,octaploidy(8C)以上のDNA量をもつ細胞の割合は病期IIと病期IIIにおいて差を認めた.胸腺腫は正常胸腺と異なるDNAヒストグラムを示した.胸腺腫核内DNAヒストグラムの病期による変化は,胸腺腫の主体である上皮細胞内に腫瘍性変化が起こっていることを示した.

キーワード
胸腺腫, DNAヒストグラム, 蛍光顕微測光法


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