[書誌情報] [全文PDF] (376KB) [会員限定・要二段階認証]

日外会誌. 89(3): 394-397, 1988


原著

自家移植膵ランゲルハンス氏島の神経支配について

東北大学 医学部第1外科 (主任:佐藤寿雄教授)

柿崎 健二 , 松野 正紀 , 宮川 菊雄 , 中村 隆司 , 網倉 克己

(昭和62年4月7日受付)

I.内容要旨
自家移植膵ランゲルハンス氏島(以下, ラ島)への神経再支配の有無を探る目的でラ島脾内移植犬を作成し,迷走神経の電気刺激,コリン作動性物質投与時, さらに無刺激状態での門脈血中インスリン値を測定した.
外因性コリン作動性物質に対して移植ラ島は良好に反応し,門脈血中インスリン値の上昇を認めた.これに対し迷走神経の電気刺激時には,正常対照群では認められるインスリン値の上昇が移植犬では認められず,少なくとも移植2カ月の時点で移植ラ島への迷走神経の再支配は無いものと思われた.一方無刺激下に移植犬でのインスリン基礎分泌動態をみると,正常犬で認められる周期的,規則的なインスリン分泌のoscillatory patternが移植犬においても存在し,インスリン分泌のoscillationには,膵臓自体の正常構造および迷走神経支配は必要ないものと思われた.

キーワード
膵ラ島自家移植, インスリン分泌動態, 迷走神経刺激


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。