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日外会誌. 89(2): 286-291, 1988


症例報告

過機能性甲状腺癌の1例

岩手医科大学 第1外科
*) 岩手医科大学 第1病理
**) 八戸赤十字病院 外科
***) 岩手県立久慈病院 外科

佐々木 純 , 小高 庸一郎 , 加藤 良平*) , 多田 隆士*) , 矢川 寛一*) , 小綿 輝雄**) , 河野 貫治***)

(昭和62年2月2日受付)

I.内容要旨
76歳女性.甲状腺右葉に9×5cmの大きな腫瘤があり,動悸と震顫を訴える.さらに右鎖骨上窩に腫大したリンパ節をふれ,胸部レ線写真で右肺野に転移を思わせる円形陰影が認められる.この腫瘤は123Iシンチグラムでhotであり,血中T4,T3は高値を示した.右鎖骨上リンパ節生検の結果甲状腺濾胞癌の転移と判明した.以上の所見から中毒性甲状腺癌と考えた.メルカゾール投与後,甲状腺全摘と頸部リンパ節郭清を行ない,さらに123I治療を行なつた.甲状腺腫瘤は組織学的にやはり濾胞癌であつた.現在,術後14ヵ月を経過し,健在である.
過機能性甲状腺癌は稀なもので,文献的にわれわれが探し得た報告は3例にすぎないが,hotで,しかもhyperfunctioningな甲状腺結節が,必ずしも良性ではないことを銘記すべきである.

キーワード
甲状腺機能亢進症, 甲状腺癌

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