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日外会誌. 89(2): 251-255, 1988


原著

乳腺腫瘍の電気インピーダンス in vivo 測定

1) 徳島大学 医学部第2外科
2) 徳島大学 工学部
3) 徳島大学 工業短期大学部

光山 南烈1) , 森本 忠興1) , 木内 陽介2) , 入谷 忠光3) , 須見 高尚1) , 木村 秀1) , 門田 康正1)

(昭和62年3月18日受付)

I.内容要旨
生体の電気特性が組織の構造により異なることを乳腺腫瘍の診断に応用する目的で,乳腺腫瘍の電気インピーダンスのin vivo測定を行い,若干の検討を加えて報告した.
研究方法は,同軸2極針電極を術中直視下に腫瘍内に刺入し,これと被検者上腹部に置いた平板電極を組み合わせて3電極を構成し,針電極と平板電極間での電圧応答を測定し(パルス応答法),インピーダンスの大きさ(以下Z)を求めた.測定には, 自作のインピーダンス測定装置を用い,測定に必要な制御,データ収集,信号処理はコンピュータにより行い,測定の迅速性と確実性をはかった.
生体の組織の構成は,等価電気回路に基づくと細胞外液抵抗(以下R1),細胞内液抵抗(以下R2),細胞膜容量(以下C)の3成分よりなることから,このR1, R2, Cの値を算出し,乳癌と乳腺線維腺腫について比較検討した.
対象症例は,昭和60年5月から同年12月までに徳島大学第2外科において切除術を行った乳癌12例,乳腺線維腺腫5例である.
これらを比較した結果, R1とR2は乳癌例において有意に高値を示した(p<0.001),Cは乳腺線維腺腫例において有意に高値を示した(p<0.001).
以上より,乳癌と乳腺線維腺腫では, R1, R2, Cの値それぞれに差を認めることがわかった.したがつて,これらをパラメータとして乳腺腫瘍の電気特性を比較することにより,腫瘍の良・悪性を鑑別できる可能性のあることが示唆された.

キーワード
インピーダンス, 乳腺腫瘍


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