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書誌情報]
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日外会誌. 88(12): 1731-1736, 1987
原著
肺癌術後胸腔内遺残病変の制御を目的とした胸腔内温熱化学療法
―D因子の制御を中心に―
I.内容要旨術中に胸膜播種が確認され,そのため肺癌原発巣が切除されたにもかかわらず絶対的非治癒手術に終った10症例を対象に,胸膜遺残病変の制御を目的に,術後のadjuvant therapyとして胸腔内温熱化学療法を考案した.10例中8例がN2で,N1とNXが各1例,またN2症例中2例は臨床的にM1と診断された.腺癌が8例で,腺扁平上皮癌と扁平上皮癌が各1例であった.術後約2週間を経過した時点で,cisplatin50 ~100mgを胸腔内に注入した後,胸壁より13.56MHzの電磁波による深部加温を行った.本法を術後1~ 3回施行した.450watts以上の出力で50分間維持した1例に皮膚および筋肉の熱傷を来たし,高カリウム血症を認め,加湿オーバーと考えられた以外は,極めて安定した状態下に,42℃以上の胸膜周辺温度(peripleural temperature)に到達することができた.本法を施行した結果,10例中3例が1年以上生存したが,6例に遠隔転移を認めている.中間観察期間は6カ月であるが,現在のところ明らかな局所再発はみられない.術後1年7カ月を経過した現在,performance statusがGrade 0で生存中の1例は,胸腔内再発がみられないことから,1年3カ月目に対側鎖骨上窩リンパ節転移に対し,上縦隔および頸部郭清が可能となった症例である.以上の結果より,本法が胸膜播種陽性絶対的非治癒手術症例の局所根治性の向上のための,有効なadjuvant therapyと成りうる可能性のあることが示唆された.
キーワード
原発性肺癌, 胸膜播種, 術後adjuvant therapy, 電磁波深部加温, cisplatin胸腔内投与
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