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日外会誌. 88(12): 1710-1717, 1987
原著
肝硬変併存患者の消化器手術における術前リスク評価について
I.内容要旨肝硬変併存症例の消化器手術に際し,その術前リスク評価に,広く一般に利用可能な簡便な評価法の作成を目的として検討した.
作成に当たり,1968~1982年の東京厚生年金病院外科での肝硬変併存症例の消化器手術52例を用いて,その入院死亡12例と生存退院40例の検討から,多変量解析の線型判別分析による信頼度を加味し,総合的に判定する評価法を作成した.評価法は,腹水,血清アルブミン値,ICG 15分停滞率,プロトロンビン時間,血小板数の5項目から成り,各々5段階に分けたGradeの荷重平均にて判定し,手術危険指数(Risk Score)として表現した.
次いで,この評価法の有用性を検討するために,1968~1986年の東京大学第1外科での肝硬変併存症例の消化器手術150例に適用して,以下の結論を得た.すなわち,
1)Risk Score(R.S.)は簡便で扱い易く, ICG Rmaxと有意な逆相関を持つ.2)肝広範囲切除を除くすべての開胸開腹手術において,R.S.≦2.5を手術限界域,2.0<R.S.≦2.5を要注意域とする.2)肝広範囲切除においては,残存肝RS.≦2.5を手術限界域とする.ただし,残存肝RS.は機能的残存肝容積率をaとすると,残存肝R.S.=3-a(3-R.S.)と設定する.
キーワード
肝硬変, 消化器手術, 肝予備能, 多変量解析, 荷重平均法
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