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書誌情報]
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日外会誌. 88(12): 1705-1709, 1987
原著
核DNA量分布パターンからみた大腸癌の臨床病理学的検討
I.内容要旨大腸癌原発巣108例(結腸癌59例,直腸癌49例)及び肝転移巣29例を対象として,パラフィン包埋ブロックを用い,顕微蛍光測光法により癌細胞核DNA量を測定し,その分布パターンを臨床病理学的に検討した.核DNA量分布パターンは,I型(low ploidy),II型(intermediate ploidy)およびIII型(high ploidy) に分類した.
(1)原発巣ではI型25%,II型46%,III型29%で,部位別には,結腸癌に比べ直腸癌にhigh ploidyが多く,組織型では高分化腺癌にlow ploidyが多かった.(2)組織学的進行度別には分布パターン間に差を認めず,肝転移,腹膜播種の有無或は深達度別には差を認めないが,リンパ節転移陽性率では,I型44%,II型54%,III型71%と,highploidyで高い傾向を認めた.(3)脈管侵襲の有無では分布パターン間に差を認めなかった.(4)予後では,治癒切除例の5年生存率は,I型88%,II型87%,III型74%,10年生存率は,I型88%,II型80%,III型24%とhigh ploidyの予後が不良であった(p<0.05).また,非治癒切除例の1年生存率は,I型83%,II型33%,III型33%,2年生存率は,I型67%,II型27%,III型0%を示し,high ploidyの予後が不良な傾向を認めた.(5)肝転移巣の検討では原発巣に比べploidyが高く,絶対非治癒切除例にhigh ploidyが多い傾向を認めた.(6)肝転移症例全体の予後はI型+II型に比べ,III型で有意に不良であった(p<0.05).
以上より,癌細胞核DNA量分布パターンは,大腸癌の組織学的進行度とは相関しないが,その予後を反映する良い指標となる可能性が示唆された.
キーワード
大腸癌, 大腸癌肝転移, 大腸癌予後, 核DNA量, 顕微蛍光測光法
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