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日外会誌. 88(8): 947-954, 1987


原著

胃癌患者の免疫能
ー特にリンパ球サブセットとインターロイキン2からの検討ー

群馬大学 医学部第2外科

竹下 正昭 , 大和田 進 , 中村 正治 , 宮本 幸男 , 泉雄 勝

(昭和61年4月15日受付)

I.内容要旨
胃癌患者62症例(stage I: 28人,II: 5人,III: 15人,IV: 14人)を用いてモノクローナル抗体によるリンパ球サブセットとインターロイキン2の免疫学的パラメーターとしての有用性について検討した.
リンパ球サブセットはレーザーフローサイトメトリー法にてOKT3, 4, 8, 4/8比, Leu7, 11をそしてCTLL増殖法によるインターロイキン2産生能とレーザーフローサイトメトリー法によるインターロイキン2リセプターを測定した.また従来からの皮内反応(PHA, Su-PS, PPD), マイクロプレート法によるリンパ球幼若化反応(PHA, PWM)も測定した.そして術前,術後2週,4週,6週目の計4回測定した.
stageの進行度との関連性はリンパ球サブセットでOKT3, 4, 4/8比はstageの進行に伴い減少した.Leu7, 11はstage IIとIIIで高い値を示してstage IVで低い値を示した.
インターロイキン2の産生能はstageの進行に伴い低い値を示した.
手術前後の変動ではリンパ球サブセットでstage Iでは手術前後にかけて大きな変動は認められなかった. stage II, IIIでは OKT3, 4, 4/8比, Leu7, 11で術後に低下を示して 4~ 6週目には回復が認められた. stage IV (非切除) では低い値を示したが手術前後には著しい変動はなかった.
インターロイキン2はstage I, II, IIIで術後2週目に産生能は低下を示して4~6週目には回復傾向が認められた.
リンパ球サブセットとインターロイキン2産生能はstageの進行度をよく反映しており担癌患者の免疫パラメーターとして有用と思われる.

キーワード
胃癌患者の免疫能, リンパ球サブセット, インターロイキン2

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