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日外会誌. 88(4): 447-452, 1987


原著

ラット切除後再生肝の微細形態学的変化と形態計測による定量的解析

横浜市立大学 医学部第2外科学教室(指導:土屋周二教授)

長堀 薫

(昭和61年1月8日受付)

I.内容要旨
ラットの肝大量切除後7日までの再生肝の微細形態学的な定量的解析について研究を行なつた.肝重量は切除後7日でほぼ切除前値に復した.肝細胞の分裂像は術後24時間より出現,48,72時間後に増加し7日後には殆どみられなかつた.
肝大量切除後7日以内の肝細胞を微細形態学的に観察し,小器官や顆粒について形態計測を行ない,これらが細胞質に占める容積の割合(volume density)を求めた.その結果mitochondriaは術後2時間で分裂像が観察され,3時間後に容積が増加し,6時間後には術前値に復した.脂肪顆粒のvolume densityは肝切除後48時間に著増し,7日後に術前値に復した.
細胞のエネルギー産生に大きく関与するmitochondriaは,肝切除後の極めて早期に肝細胞の分裂に先だつて分裂,増加しており,再生に必要なエネルギー需要増大に対応しているものと考えられた.
また,脂肪顆粒の出現,増加は,脂質がエネルギー代謝の基質として利用される可能性を示唆している.

キーワード
肝切除後肝細胞, 肝細胞の微細形態, 肝細胞の形態計測, 肝細胞のミトコンドリア, 肝細胞の脂肪顆粒


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