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日外会誌. 88(2): 152-162, 1987


原著

Subrenal capsule assay(SRC assay)による制がん剤感受性試験の基礎的,臨床的研究

広島大学原爆放射能医学研究所 臨床第2(外科)部門(指導:服部孝雄教授)

西山 正彦

(昭和61年5月12日受付)

I.内容要旨
制がん剤化学療法の効果を高める目的で,個々の悪性腫瘍に対する制がん剤感受性試験が行なわれている.その一つとして正常免疫マウス腎皮膜下移植法(Subrenal capsule assay:SRC assay)が知られているが,われわれは本法に基礎的検討を加え,その結果にもとずいて若干の修飾を加え,新たに移植腫瘍のDNA,蛋白量による判定法を開発し臨床に応用し従来の判定法と比較した.
基礎実験から以下の成績が得られた.
(1)腎被膜下移植腫瘍は,4日目および6日目で同程度の腫瘍細胞増加を示し,移植に伴う宿主免疫反応は4日目以降に高度化した.
(2)マウス体重減少率および移植腫瘍重量変化率よりの検討では,Adriamycinの静脈内投与を除きMitomycin C,5-Fluorouracil,Cyclophosphamide,Cis-platinumでは腹腔内投与が適切で,3日間連日投与法の必要性が示唆された.
(3)移植腫瘍DNA,蛋白量は各々単独では腫瘍重量と相関関係を示さないが対照群に対するDNA/蛋白量の比(%DNA/蛋白量)は腫瘍重量変化率対照群比と有意の相関を示し,Mitomycin C群:p<0.05,5-Fluorouracil群:p<0.05,Cyclophosphamide群;p<0.01,の結果が得られた.
臨床材料の検討として従来の腫瘍重量変化率(⊿TW/TW0)による判定はヌードマウス可移植ヒト悪性腫瘍17例,新鮮摘出腫瘍95例の計112例,%DNA/蛋白量による判定はヌードマウス可移植ヒト悪性腫瘍6例,新鮮摘出腫瘍64例の計70例について行なつた.このうちprospective studyのため新鮮摘出腫瘍のみを対象に検討を加えた.⊿TW/TW0,%DNA/蛋白量による判定では評価可能率がそれぞれ84.2%,87.5%,制がん剤別感受性陽性率はそれぞれ14.7%,27.8%,臨床効果との相関率はそれぞれ78.6%,81.8%となつた.両判定法での一致率は症例別で69.1%(p<0.05,n=55),制がん剤別で82.9%(p<0.01,n=217)を示した.

キーワード
制がん剤感受性試験, Subrenal capsule assay, %DNA/蛋白量


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