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日外会誌. 88(2): 138-142, 1987


原著

ショック時の副腎血流に関する実験的研究

札幌医科大学 第1外科

秋山 守文 , 白川 拓 , 服部 直樹 , 高橋 克宗 , 東 薫 , 戸塚 守夫 , 早坂 滉

(昭和61年5月12日受付)

I.内容要旨
対ショック臓器として知られる副腎の組織血流を家兎を用いた出血性ショックとエンドトキシンショックで腎血流との対比において検討して次の結果を得た.
1.35mmHg 2時間の出血性ショックで副腎血流は78ml/100g/minから31.4ml/100g/min,40%に低下し,血圧の低下に比例していた.一方腎血流は前値の14.9%に低下し,副腎に比し腎の血流低下は著しかつた.
2.2mg/kg静注エンドトキシンショックでは,2時間後血圧は61%に,副腎血流は69%に,腎血流は48%に低下し,副腎血流と腎血流に有意差がみられた.
3.血漿コルチコステロン濃度は出血性ショック,エンドトキシンショック双方で上昇したが両ショック間に差はみられなかつた.
4.出血性ショックでは血漿K,Mgは早期より上昇,エンドトキシンショックでは漸増傾向がみられた.
5.β-glucuronidaseは早期から上昇をみせ,出血性ショックではエンドトキシンショックより有意に高値であつた.
6.両ショックはsublethalな侵襲となつた.
以上の結果から両ショックともに末梢循環不全,組織anoxiaが考えられ,副腎血流は血圧dependentに低下した.しかし腎血流の低下は副腎の血流低下を凌駕し,腎が血流のcentralizationの犠牲となり,副腎がcentralizationの恩恵を受けたことが示唆された.

キーワード
副腎血流, 腎血流, ショック, 兎


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