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日外会誌. 87(11): 1485-1490, 1986


症例報告

肝臓の Fibrolamellar Carcinoma の 1例

東京慈恵会医科大学 第1外科

吉田 和彦 , 小林 進 , 宮本 栄 , 工藤 十右衛門 , 蜂谷 公敏 , 稲田 省三 , 桜井 健司

(昭和61年1月6日受付)

I.内容要旨
本邦で第1例と思われるFibrolaellar Carcinoma of the Liver(以下FCLと略す)を経験したので報告する.
症例は56歳男性,在日韓国人である.HB virus Carrierとして経過観察中に,X線CTにて肝右葉前区域に低吸収域を指摘された.画像診断で肝細胞癌と診断され,肝部分切除を施行した.
肉眼的には直径4cm大の境界明瞭な灰白色調の腫瘍であつた.組織学的には好酸性細胞質を有する腫瘍細胞が索状,小巣状の細胞群を形成しており,細胞群間には層状構造をもつ線維性間質が豊富に存在し,FCLと診断された.
欧米でFCLは,組織学的特徴,高い切除率,良好な予後から,肝細胞癌の特殊型として認識されている.
文献上検索できた90例の報告とあわせ,本疾患の特徴について,若干の考察を加えた.

キーワード
Fibrolamellar Carcinoma, Hepatocellular Carcinoma, Focal Nodular Hyperplasia


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