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日外会誌. 87(10): 1275-1283, 1986


原著

外科感染症時における蛋白,アミノ酸代謝に関する臨床的研究
-分岐鎖アミノ酸投与の意義-

札幌医科大学 第1外科

島津 雄一 , 水間 公一 , 筒井 完 , 戸塚 守夫 , 早坂 滉

(昭和61年1月28日受付)

I.内容要旨
縫合不全,消化管瘻等により消化管内容の漏出による腹膜炎を発症している外科感染症の症例に対し,分岐鎖アミノ酸(以下BCAA)高濃度液を投与しクロスオーバー法により,従来組成のBCAA低濃度アミノ酸液との比較検討により,持続的重度侵襲下の病態代謝を蛋白,アミノ酸代謝の側面より検討を行い以下の結論を得た.
1)感染症時の代謝が生理的代償期にある場合,glucogenesis,ureagenesisの亢進,及び感染症に早期より随伴する肝障害が示唆された.
2)重症感染症時におけるBCAAの投与は筋蛋白崩壊の抑制,臓器蛋白合成の促進といつた蛋白代謝改善効果を示した.
3)BCAAは重度侵襲下における治療手段として極めて有効であり,重要な医学的意義を持つていると考えられた.

キーワード
感染症, 分岐鎖アミノ酸(BCAA), 蛋白代謝, アミノ酸代謝


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