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日外会誌. 87(6): 659-670, 1986


原著

胆道再建術の胃酸分泌および消化管ホルモン分泌におよぼす影響に関する実験的研究

東北大学 医学部第1外科(主任:佐藤寿雄教授)

土屋 誉 , 佐々木 巌 , 今村 幹雄 , 内藤 広郎

(昭和60年9月17日受付)

I.内容要旨
Roux-Yおよびinterposotionを用いた胆道再建術の胃酸分泌と消化管ホルモン分泌におよぼす影響について,biliary diversionのみの影響と胆道再建に用いられる空腸脚が空置される影響との2つの要因に分析し,イヌを用いて実験的に検討して以下の成績を得た.
1)食事刺激によるHeidenhain pouchの酸分泌量は胆嚢・十二指腸吻合群(CD群),空腸空置群 (TVF群)および胆嚢・空腸吻合群(CJ群)では術前(対照)に比し術後で差は認めなかつたが,胆嚢・回腸吻合群(CI群)では減少傾向が認められた.
2)各種消化管ホルモンの総反応量は,ガストリンについてはCI群で低下が認められた.GIPについてはTVF群およびCI群で低下を認めたが,とくにCI群ではGIP反応が欠如することを認めた.一方,total GLIはCD群およびCJ群で差はなかつたが,CI群では著明な高値を認め,GIについては,いずれの群でも差は認められなかつた.
以上より,消化管ホルモン分泌は空腸空置により影響をうけ,また回腸へのbiliary diversionはさらにその影響が大きいと考えられた.また,enteroglucagonはenterogastrone作用を有すること,および各種消化管ホルモン間には代償機構が存在することが示唆された.

キーワード
biliary diversion, 空腸空置, 胃酸分泌, gastric inhibitory polypeptide (GIP), enteroglucagon

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