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日外会誌. 87(3): 350-353, 1986


症例報告

椎間板ヘルニア術後に生じた右総腸骨動脈-下大静脈瘻の手術経験

1) 大船共済病院 胸部心臓血管外科
2) 大船共済病院 内科

大平 政人1) , 榊原 直樹1) , 渡辺 剛1) , 田中 信行1) , 杉山 有2) , 大原 裕康2)

(昭和60年7月2日受付)

I.内容要旨
第4~5腰椎ならびに第5腰椎~仙椎々間板切除後6カ月に心不全,両下肢浮腫,腹部の連続性雑音を聴取する右総腸骨動脈一下大静脈瘻の1例を経験し,治癒せしめた.
手術は全身麻酔下にて腹部正中切開をおこない,腹部大動脈,両側腸骨動脈を遮断したのち下大静脈を用手圧迫しつつスリルの最強点直上の右総腸骨動脈を縦切開した.
瘻孔は3×10mmの大きさで,これを動脈内腔より直接縫合閉鎖した.右総腸骨動脈は8mm dacron graftにて置換した.
術後経過は順調で胸部X線所見では術前CTR 58%から47%へ改善し,心拍出量も12.5l/分より 8.01l/分へと正常化し,術前の種々の臨床症状も全く消失した.
椎間板切除後の動静脈瘻に対する本邦の手術成功例の報告はいまだ3例と少く,貴重な症例と考え報告した.

キーワード
椎間板切除術, 動静脈瘻, 心不全


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