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日外会誌. 87(1): 44-48, 1986


原著

胃癌細胞の分裂能と予後
-予後因子としての癌細胞分裂能-

神戸大学 医学部第1外科(主任:斉藤洋一教授)

多淵 芳樹 , 瀧口 安彦 , 中村 毅 , 中江 史朗 , 今西 築 , 村山 良雄 , 斉藤 洋一

(昭和60年3月20日受付)

I.内容要旨
Stathomokinetic methodで癌細胞分裂能を測定した胃癌症例43例を研究対象として,胃癌細胞分裂能を70‰以下の低癌細胞分裂能L-MA群,70~90‰の中癌細胞分裂能M-MA群・90‰以上の高癌細胞分裂能H-MMA群の3群に分類して転帰との関連を検討し,次の通りの結果と結論を得た.
1)L-MA群の生存率曲線はM・MA群よりも良好な傾向(generalized Wilcoxon test,Z=1.815,p<0.1)があり,M-MA群の生存率曲線はH-MA群よりも有意に(generalized Wilcoxon test,Z=2.048,p<0.05)良好であつた.
2)癌死例の平均生存期間はL-MA群(n=1)24.0月・M-MA群(n=9)16.1±2.4月・H-MA群(n=13)7.4±2.4月であり,癌細胞分裂能が高い症例群は低い症例群よりも早期に死亡していた.
3)同一組織型・同一深達度・同一進行程度の症例間において,癌細胞分裂能が高い症例群は低い症例群よりも早期に死亡していた.
これらの結果は,癌細胞分裂能は胃癌患者の転帰を予測する指標である予後因子として利用できることを強く示唆していると考えられる.

キーワード
胃癌, stathomokinetic method, 癌細胞分裂能, 胃癌の予後因子


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