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日外会誌. 86(10): 1450-1455, 1985


原著

回腸動脈瘤
-症例報告と本邦報告例の集計-

兵庫医科大学 胸部外科

青木 啓一 , 宮本 巍 , 田中 誠 , 村田 紘崇 , 川原 勝彦 , 岡 良積 , 前田 信証

(昭和59年12月7日受付)

I.内容要旨
上腸間膜動脈分枝動脈瘤である回腸動脈瘤症例を経験したので,本邦報告例も集計し報告する.症例は70歳男性,5年前胸部下行大動脈瘤破裂にて人工血管置換術をうけ,経過観察中であつたが,腹部の拍動性腫瘤および血管性雑音にて本症を疑い,確定診断後,外科的に治癒せしめた.瘤の大きさは10×4.5×4cmで組織学的検査では動脈硬化性病変であつた.本邦における上腸間膜動脈瘤の報告は本症例を含め20例で,本幹動脈瘤12例,分枝動脈瘤8例である.本症例は回腸動脈瘤としては4番目の報告例と思われる.本症は比較的稀な疾患であるが,一旦破裂すると手術治療も困難となり,不十分な術式に終らざるをえなくなるため,破裂前に発見し手術することが望ましい.また,血管造影検査が診断および術式を決定する上で重要と考えられる.

キーワード
上腸間膜動脈瘤, 上腸間膜動脈分枝動脈瘤, 回腸動脈瘤


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