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日外会誌. 86(8): 959-965, 1985


原著

骨盤内後腹膜腔に発生したHemangiopericytomaの1例と本邦報告例の検討

鶴岡市立荘内病院 外科

高野 邦夫 , 鈴木 伸男 , 斉藤 博 , 石橋 清 , 新田 幸寿 , 星 永進 , 近藤 公男

(昭和59年11月19日受付)

I.内容要旨
Hemangiopericytomaは1942年,StoutとMurrayが最初に記載した比較的稀な腫瘍である.私共は骨盤内後腹膜腔に発生した本腫瘍の1例を経験したので報告する.症例は57歳の男性.主訴は残尿感と尿線細少.精査で骨盤内後腹膜腔腫瘍と診断され,昭和59年3月12日低位前方切除術を行い,腫瘍を直腸とともに摘出した.病理組織検索で悪性のHemangiopericytomaと診断された.術後経過は順調で,再発・転移の予防にAdriamycinの投与を行なった.術後8カ月の現在,再発・転移の徴候を認めていない.
自験例を含めた本腫瘍の後腹膜腔発生の本邦報告例20例を集計し検討した.本腫瘍の好発部位は四肢の皮膚または皮下で,後腹膜腔での発生頻度は約10%である.本腫瘍の悪性頻度は全体の40~50%であるが,後腹膜腔に発生したものはほとんどが悪性である.本腫瘍は摘出後長期にわたり,再発や転移の起こる可能性がある事より十分なfollow upが必要であり,予防的な化学療法の投与や,再発・転移に対しても積極的なアプローチが検討されるべきものと考える.

キーワード
後腹膜腫瘍, Hemangiopericytoma


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