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日外会誌. 86(7): 787-801, 1985


原著

担癌生体末梢リンパ球の in vitro 培養による抗腫瘍能発現に関する基磯的研究

順天堂大学 第1外科(指導:城所 仂教授)

堀江 健司

(昭和59年10月9日受付)

I.内容要旨
我々は癌受動免疫療法の確立をめざして癌患者の自己リンパ球をInterleukin-2(以下IL-2)存在下にin vitro培養してリンパ球の抗腫瘍活性を増強させた後,再び患者に移入して抗腫瘍効果を期待する事を考え,その基磯的実験を行つた. まずin vitro培養で末梢リンパ球(PBL)に抗腫瘍性を持たせ, これを高める為にいくつかの工夫を行つた結果① PBLのIL-2添加培養だけでも弱い抗腫瘍活性が発現した.②これにMMC処理腫瘍抗原を加えると抗腫瘍活性は増強した.③上記②に修飾細胞として腹腔滲出MΦ,あるいはmonocyte等を含む末梢血全白血球を加えると抗腫瘍活性はさらに増強した.④末梢血全白血球のMLTCにても③と同等の効果が得られた.
次にWinn中和試験では抗原添加培養リンパ球群,抗原添加培養白血球群が最も強い腫瘍中和作用を示し,51Cr腫瘍細胞障害試験によるin vitroの実験結果とよく一致した.
治療実験に於ては,抗原添加培養白血球移入群は非治療群及び非培養白血球移入群に比しても有意な治療効果を示した. また腹腔担癌ラットに対して移入リンパ球数を変えて効果を検討したところ,1×106個以下の移入群に比較して1×107個移入群で明らかな延命効果が認められた.

キーワード
受動免疫, Interleukin-2, mixed lymphocyte tumor cell culture, accessory cell, in vitro 感作リンパ球


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