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日外会誌. 86(4): 443-454, 1985


原著

N-methyl-N’-nitro-N-nitrosoguanidine 誘発ラット胃癌に対する Nd : YAGレーザーの照射効果について
-ヒト早期胃癌に対するレーザー治療のモデルとして-

東京大学 医学部第2外科学教室(主任:和田達雄教授)

笹子 三津留

(昭和59年7月9日受付)

I.内容要旨
Nd:YAGレーザーを用いた内視鏡的な胃癌の治療が広く行なわれ始めているが,Nd:YAGレーザー照射により本当に癌が消滅するのか,そしてどのような形で癌が消滅するのかについては,いまだ明らかではない.
MNNG溶液投与により発生した胃癌を持つラット20匹を用いて,胃癌に対する直視下でのNd:YAGレーザー照射を行ない,照射直後から12週後までの変化を,摘出胃の組織学的検索により明らかにし,同レーザーの治療効果を検討した.
1)Nd:YAGレーザー照射により胃癌が完全に消滅することを,連続切片の検討により証明しえた.2)Nd:YAGレーザーの光凝固作用は,癌組織に対する特異性は持たないと思われた.3)Nd:YAGレーザーを照射された胃癌組織は周囲の正常組織とともに凝固変性し,一部は脱落し,一部は肉芽化することにより,局所で消滅することがわかつた.

キーワード
Nd : YAGレーザー, ラット胃癌, 内視鏡的レーザー治療, 早期胃癌


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