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日外会誌. 84(11): 1198-1203, 1983


原著

褐色細胞腫を合併した心房中隔欠損症の一治験例

浜松医科大学 第一外科

大久保 忠俊 , 宇野 武治 , 鈴木 一也 , 上山 武郎 , 山口 貴司 , 原田 幸雄 , 𠮷村 敬三

(昭和58年1月20日受付)

I.内容要旨
褐色細胞腫を合併した心房中隔欠損症の一例を経験したので報告するとともに適切な術前術中管理を行なう上での循環動態測定の意義につき検討を加えた.
症例は16歳男子.主訴は発汗,頭痛,心悸亢進,体重減少.精査の結果,褐色細胞腫を合併した心房中隔欠損症と診断した.手術はまず褐色細胞腫に対して施行したが,術前よりSwan-Ganzカテーテルを留置し,術中術後を通して循環動態の変動を経時的に観察した.その結果,術前に比べて術後の全身末梢血管抵抗および全肺血管抵抗は低下し,血圧,肺動脈圧もともに低下した.また肺血流量は増加していたが,肺体血流量比 (Qp/Qs) については有意な変化は認められなかつた.
褐色細胞腫摘除術後103日めに心房中隔欠損症根治術を施行し,現在外来通院にて経過観察中であるが,血圧は正常化し,発汗,頭痛等の自覚症状も消失し,また血漿および尿中カテコラミン値も正常化した.

キーワード
褐色細胞腫, 心房中隔欠損症, 循環動態


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