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日外会誌. 84(10): 1051-1060, 1983


原著

ラット同所性肝移植法の研究
-非縫合肝血管吻合法の開発と応用-

北海道大学 医学部外科第一講座(指導:葛西洋一教授)

宮田 睦彦

(昭和57年12月20日受付)

I.内容要旨
簡単なラット同所性肝移植法を開発したので報告する.
ラット同所性肝移植に必要な3つの血管吻合,すなわち,肝上部下大静脈,門脈,肝下部下大静脈の吻合のすべてを,ポリエチレンチューブを用いたcuff法で行なつた.microvascular suture technique を必要とする従来の方法にくらべ,本法では肝阻血時間は大幅に短縮され,良好な手術成績を得た.
最近,行なつた40例の門脈遮断時間は13.3±1.8分であり,術後1週間生存率は85%,9カ月目の累積生存率は54.4%であつた.
本法により,迅速,かつ確実に血管を吻合することができ,また,その技術修得は容易であるため,このラット同所性肝移植法のモデルはallograftの拒絶反応,あるいはenhancementの研究に,また,保存されたisograftのviability testに広く用いられることが期待される.

キーワード
肝移植, ラット同所性肝移植, cuff血管吻合法


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