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日外会誌. 83(8): 723-735, 1982


原著

術後経末梢静脈アミノ酸投与の蛋白節約作用に関する研究

千葉大学 医学部第1外科学(主任:奥井勝二教授)

鷺谷 豊久

(昭和57年3月29日受付)

I.内容要旨
術後の飢餓期における末梢静脈アミノ酸輸液の効果を検討する目的で胃普通切除後を中心とする中等度手術侵襲後5日間,下記の輸液をおこない.主として蛋白節約作用の面より比較検討した.
I群 対照群(低カロリー末梢輸液+流動食)
II群 10%ブドウ糖液単独投与(フィジオゾール3号2000ml/日)
III群 3%アミノ酸液単独投与(Vuj-Nアミノ酸組成2000ml/日)
IV群 3%アミノ酸,7.5%ブドウ糖液投与(混合液2000ml/日)
V群 3%アミノ酸,7.5%ブドウ糖液+脂肪乳剤投与(2000ml/日+ 10%脂肪乳剤500ml/日)
VI群 3%アミノ酸,7.5%ブドウ糖液+ブドウ糖液追加投与(2000ml/日+50%ブドウ糖液275ml/日)
また雑種成犬を3週間水分のみ投与の完全絶食下の飢餓モデルを作製し,横行結腸吻合術を施行し,術後6日間下記の栄養をおこない.エネルギー基質代謝,インスリン値,窒素平衛,吻合部耐圧試験値を測定した.
I群 10%ブドウ糖液単独投与(80ml/kg・日)
II群 3%アミノ酸液単独投与(80ml/kg・日)
III群 3%アミノ酸,7.5%ブドウ糖液投与(80ml/kg・日)
アミノ酸単独投与は,術後飢餓期の体組織蛋白の異化を大巾に減ずる.しかし,更にブドウ糖や脂肪を末梢静脈より可及的に投与することが,アミノ酸の蛋白節約効果を増し,エネルギー基質代謝,アミノグラム,創治癒過程をより正常な状態とした.

キーワード
末梢静脈栄養, 蛋白節約作用, 創治癒, 窒素平衛


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