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日外会誌. 83(4): 338-344, 1982


原著

新しい腫瘍マーカーとしての血清secretorycomponent(SC)
-酵素免疫測定法による癌患者血清での測定-

*) 名古屋大学 第一外科
**) 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所 

石黒 士雄*) , 伊藤 喬広*) , 長屋 昌宏*) , 加藤 兼房**)

(昭和57年1月5日受付)

I.内容要旨
Secretory component(SC)は腺上皮より産生される分子量約7万の糖タンパクであり,外分泌液中に多量に含まれている.一部のSCはIgA 2分子,J-chain 1分子と共に分泌型IgA(SIgA)を形成している.
このSCが癌患者,非癌患者血清中において増加しているとの報告があり,今回正常人48名,癌患者63名,非癌患者59名の血清を用いsolid phase enzyme immunoassayにより血清SCを測定し,同時にSephadex G-200カラムクロマトグラフィーを用いて血中でのSCの存在様式について検討した.
1 正常対照群(48名)
血清SC値は67.8±19.lng/ml(40-128ng/ml)であつた.
2 癌患者群(63名)
血清SC値は176.6±112.2ng/ml(43-560ng/ml)であった.
3 非癌患者群(59名)
血清SC値は114.3±46.4ng/ml(36-240ng/ml)であつた.
以上3群において統計学的に有意差(p<0.01)を認めた.
4 Sepadex G-200クラムクロマトグラフィーの結果
正常人,癌患者血清共にSCの存在様式は,大部分SIgAの型であるが,一部微量ではあるがFree SCも存在した.
以上の結果より,血清SC値の測定は癌患者のスクリーニングに有用な方法であると考えられた.

キーワード
secretory component, secretory IgA, solid phase enzyme immunoassay, carcinoma


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