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日外会誌. 83(1): 78-87, 1982


原著

近位側胃切除後の胃液分泌と血清 gastrin,secretin 動態

鳥取大学 第1外科(主任:古賀成昌教授)

水本 清

(昭和56年9月10日受付)

I.内容要旨
近位側胃切除犬における幽門側残胃の大きさによる胃液分泌,血清gastrin,secretin動態を正常犬のそれと比較検討した.
胃壁細胞領域がほぼ完全に切除された2/3近位胃切除犬では,胃酸分泌は欠如し,対照とくらべて空腹時高gastrin血症,食餌負荷後の血清gastrin値の漸増傾向がみられた.胃壁細胞領域が若干残っている1/2近位胃切除犬では,少量の胃酸分泌があり,2/3近位胃切除犬と同様に空腹時に高gastrin血症を示したが,食餌負荷による血清gastrin値の変動は少なかった.そして食餌刺激後120分間のgastrinの放出量(IGR)については,2/3近位胃切除犬では対照と同じくらいの放出がみられたが,1/2近位胃切除犬では低値であった.
また空腹時血清secretin値は,2/3近位胃切除犬,1/2近位胃切除犬いづれにおいても対照とほとんど同値で,食餌負荷後でも変動はみられなかった.食餌負荷後120分間のsecretin放出量(ISR)は,2/3近位胃切除犬,1/2近位胃切除犬,対照ともほとんど認められなかった.

キーワード
近位側胃切除術, 胃酸分泌, gastrin, secretin


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