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書誌情報]
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日外会誌. 82(6): 622-632, 1981
原著
「胆管内発育型肝癌」の臨床
I.内容要旨一般に肝癌で黄疸を主訴とする頻度は低く,あったとしてもその大部分は末期になつて,腫瘍自体の増殖,腫大による胆管の圧迫や,肝実質障害に由来する黄疸であると思われる. しかしながら,肝癌がその比較的早期に胆管内に浸潤,発育してきたために, その腫瘍塊あるいはそこからの出血による凝血塊により閉塞性黄疸を来たし,それを初発症状とする症例は非常に稀で,本邦では著者らの3例を加えて33例で,海外の文献でも33例を数えるにすぎない.
本症を診断する上で重要な症状は,①黄疸,② 便潜血反応陽性,③ 腹痛であり,特に胆道出血に伴う黄疸の消長が認められる場合もある.胆道造影の所見では, ① 辺縁が淡く,柔らかい感じの陰影欠損像,② 造影剤注入時や体位変動で容易に変形する, といつた特徴を有する.また,胆管内に発育した腫瘍塊は,容易に周囲の胆管壁から剥離することが出来,壁への浸潤は認められず,その凝血を混じた腫瘍塊からは肝癌細胞が検出出来た.
このような肝癌は,その特異な発育形態と特有な症状から, 「胆管内発育型肝癌」とでも呼称されるべき範疇に含まれるべきであることを提唱し,その診断基準を含めて,文献的にも考察を加えて報告する.
キーワード
胆管内発育型肝癌, 胆道出血, 閉塞性黄疸
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