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日外会誌. 82(4): 378-385, 1981


原著

肝広範切除後胃分泌の研究

三重大学 医学部第1外科(指導:水本龍二教授)

古田 紘一

(昭和55年9月30日受付)

I.内容要旨
肝広範切除後の消化性潰瘍の病因を検索する目的で雑種成犬を用い以下の実験を行なった.
Heidenhain pouch の胃液酸度と血中ガストリン値を測定し,70%肝切除後の変化を検索した.
空腹時末梢静脈血中ガストリン値は肝広範切除後3~7週では有意の上昇を示した.
食餌剌激後によるHeidenhain pouchの胃酸分泌と末梢静脈血中ガストリン値は肝広範切除後有意の上昇を示し,肝切除前に比べてそれぞれ, 92%と109%上昇した.
門脈血中と末梢静脈血中ガストリソ値を比較して肝におけるガストリンturnoverをみると肝広範切除前後で著変がなかつた.
肝広範切除後に上昇した胃分泌はセクレチン負荷により完全に抑制された.
以上の成績から肝広範切除後では胃酸分泌やガストリン分泌が亢進しており,これらは胃自体の分泌亢進に由来するものと考えられた.

キーワード
肝切除, 消化性潰瘍, 胃分泌, セクレチン


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