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日外会誌. 82(4): 305-315, 1981


原著

ヌードマウス可移植性ヒト癌に対するリンパ球・腫瘍細胞混合培養上清の腫瘍増殖抑制効果

慶応義塾大学 医学部外科学教室(指導:阿部令彦教授)

松本 純夫

(昭和55年10月15日受付)

I.内容要旨
ヌードマウス(BALB/c nu/nu)可移植性ヒト胃癌KSt-1, St-15をヌードマウスに移植後, ヘテロマウス(BALB/c nu/+)の脾細胞,健康人リンパ球,in vitroでKSt-1,St-15に感作した健康人リンパ球,あるいはヒトリンパ球・腫瘍細胞混合培養(MLTC)上清, ヒトリンパ球混合培旋(MLC)上清を. そのヌードマウスに投与し, 腫瘍増殖に対する影響を検討した. nu/+マウス脾細胞移入群では著明な腫瘍縮少がみられ,組織学的にも腫瘍細胞の変性が認められた.腫瘍感作リンパ球の移入では一時的な腫瘍増殖抑制効果がみられたが,無処置ヒトリンパ球移入は無効であった.MLTC上清投与では最も強い腫瘍増殖に対する抑制効果がみられ,組織学的に腫瘍細胞変性も著明であった. MLTC上清を腹腔内投与したヌードマウス脾細胞のYAC,P-815に対する影響を細胞障害試験,3H-チミジン取り込み試験で検討した結果, natural killer 活性が明らかに上昇していることがわかり,又,マクロファージも活性化されていることが示唆された.

キーワード
ヌードマウス, MLTC, MLC, natural killer, macrophage


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